50歳からのフードデリバリー配達員

あなたは50歳以上ですか? はい/いいえ 

道訊かれ顔冥利に尽きる出来事…一粒で二度オイシイ配達

私、なかなかの「道訊かれ顔」のようでして、

「すみません、駅はどちらでしょう…?」

「郵便ポストを探しているのですが…」

「〇〇に行きたいのですが…」

「この辺りにバス停はありますか?」

等々、声をかけられることがよくあります。

 

商業施設の中などでも

「〇〇売り場は何処ですか?」

などと、当たり障りのない私服を着ていてもこの始末。

たまたま知っていたので「コチラになります」と売り場まで案内して差し上げたら

「…どれが良いでしょう?」

知るか〜!

…と思いつつも「個人的にはコチラがオススメですが、最終的にはお好みで選んでくださいね〜」と当たり障りのないアドヴァイス的なセリフを残して離脱しましたが。

 

さて今回の「訊かれ」は…

フードデリバリー稼働中の事。

川崎市中原区木月のすき家でピック、

矢上川が鶴見川に合流する辺りのドロップ先に向かう途中、既に陽は落ちているしシャカリキに漕ぐ必然性もないので安全速度で巡航していると

「すみませ~ん…」

と呼び止める声が…聞こえる様な気がする。

しかし走行中にガチ配達ルックのフーデリ自転車配達員に声をかけてくる人がいるはずがない。

幻聴か…自覚はなかったが疲労が溜まっている様だ。このドロップが終わったら帰宅方向に進路を取ろう、などとぼんやり考えていたら再び

「すみませ~ん…」

振り向くと小学校高学年くらいの男の子が自転車で追いかけて来ていた。

幻聴じゃなかったんだ!

待てよ?以前もこんなことあったな…私が走行中に何かを落下してしまってそれを拾ってくれたのかな?

話を聞いてみると...道に迷っているとのこと!

 

遊んでいるうちにいつもの行動範囲から逸脱してしまい、気がつけば日も落ちてどこだかわからなくなって心細くなったのだろうか。

 

...にしても他にも人がいるのになぜ私に訊く?

まあまさに「冥利に尽きる」といった感じではありますが。

 

しかしこちとらガチ配達ルックなので顔は見えていないはず。

「道訊かれ顔」というより「道訊かれ佇まい」とでも言ったほうがよいのだろうか?

 

それはともかく「道訊かれ佇まい」であっても「道教え上手」というわけではないし、日吉近辺ではむしろ私の方がストレンジャーと思われ…

とはいえ乗りかかったボートではあるし、うまく問題解決につなげられればこちらとしても気分がいい。

 

ということで問題解決のためにあがいてみる。

私「どこを目指していますか?例えば駅とか…」

迷子(以下「迷」)「駅、ではないです…(どうしたらいいのか困惑している様子)」

私「何か目印というか知っている建物とかはありますか?」

迷「『ヤガミ小学校』まで行けばあとは分かります」

いや、「ヤガミ小学校」知らんし…

いや、スマホで調べれば一発、か!

…まてよ?彼は「私」に用があったのではなく、

フーデリ配達員なら必ず持っているスマホに用があったのか⁉

 

…それはいいとして検索してみるとその小学校は、自転車なら5分程度で行けそうだし道も複雑ではない。

画面を見せて説明したが

迷「…(不安)」

無言の意思表示。

見れば私の進行方向とその小学校は途中まで同じ。

とある交差点で左に行けば小学校、右に行くとドロップ先、という位置関係。

なので「ゆっくり走るので尽きて来てください」といって先導することに。

フーデリ配達中に小学生の先導をする日が来るとは思ってもみなかったヨ~!

バックミラーをチラ見しつつしばし小学生とランデブー走行

目的の交差点が近づいたので

「左に行けば小学校です」

と伝えようと振り向くと少年の表情に希望の光が見えた。

「ここは来たことがあります、もうわかりました!」

ホッ!

私は安心して舵を右に切ってドロップ先へ。

その後しばしの走行ののちドロップ先が近づいたのでスピードを落として探索モード。

建物を特定できずしばし右往左往していたら一台の自転車が通り過ぎた。

見ればさっきの少年ではないか!

そうか、小学校はあくまで目印であって目的地ではなかったんだね。

 

何にしても当方にとっては配達ルートから全く逸脱することなく人助けができたという一石二鳥のオイシイ配達となったのだった。

 

…何気に翌日「フードデリバリー配達員らしきアヤシイ男が小学生と話していてその後連れ去ったという目撃情報がありました」なんて不審者情報が回覧されていたりして…!